中国ブロックから、山口障害者職業リハビリテーション研究会の研修活動をご紹介します。ここ数年、当研究会に対し、日本職業リハビリテーション学会から研究助成金をいただいておりますこと、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。お陰様で、県外からも講師をお招きすることができました。ありがとうございました。平成26年度は計5回の研修、27年度は今のところ2回の研修を行いました。要点を絞ってご紹介します。
平成26年度の1回目は5月の土曜日。約30名の参加者を4~5の小グループに分け、日頃の実践や感じていることを発言し、聞き、共有する場にしました。小グループになると、一人ひとりが遠慮なく発言できるので、活気が生まれますね。毎年定番となったこのやり方で、今後の研修についての意見・希望も出し合いました。
2回目は7月の土曜日。広島大学准教授の竹林寺毅先生に、「特別支援学校技能検定」についてご講話いただきました。広島県の特別支援学校では、かつては高等部卒業生の就職率が全国的に低かったのですが、この技能検定の導入によって生徒が技能向上への目標をもち始め、このことが就職率の向上に大きく寄与したという実績があります(山口県でもこの検定を導入する機運が今とても高まっています)。研修後の懇親会も盛り上がりました。
3回目は10月の土曜日。山口県立西京高等学校の榎本真貴子先生に、「高等学校における特別支援教育」についてご講話いただきました。取組の現状と課題、そして複数の生徒への支援事例を含めたお話に、参加者はなるほど!と聞き入りました。
4回目は12月の土曜日。広島県尾道南高等学校の田坂利明先生に、「自立と社会参加を実現するキャリア教育」についてご講話いただきました。尾道南高等学校は夜間定時制の単独校であり、生徒の7割以上が就労経験を持ち、6割が働きながら学んでいます。中には発達障害のある生徒も少なくありません。弛まぬ教育実践から生まれ出た講師の言葉が、私たちの胸に熱いエネルギーを与えてくれました。
5回目は平成27年2月の土曜日。「先輩お母さんから若いお母さんへのメッセージ」と題し、障害のある子どもの子育てをほぼ終えられたお母さん方4名に、その貴重な体験をお話し頂きました。人生の先輩として、子育て真っ最中の若いお母さん方にアドバイスを、との企画でしたが、とても含蓄のあるお話を伺うことができました。
平成26年度の研修の概要は以上です。
平成27年度の1回目は5月の土曜日。山口県立田布施総合支援学校の宮本慎太郎先生に「児童生徒の社会自立を目指した繋がりのある清掃指導の在り方について」、山陽小野田市立高千帆小学校の山崎陽子先生に「社会的自立・就労を見据えた小学校段階での支援の在り方」と題するご講話をいただきました。いずれも、児童生徒に自己有用感、自己肯定感等を育てようと取り組んだ優れた実践研究でした。
2回目は7月の土曜日。「エンディングノート」の活用について、社会福祉士の吉浦正男氏にご講話いただきました。エンディングノートとは、人生の終末期に迎える死に備え、自身の希望を書き留めておくノートのことです。書かれる事柄には、例えば財産等に関する情報、葬儀に対する希望、相続に対する考え方等があるといわれています。吉浦氏による長年のご実践をもとにしたユーモアある洒脱なお話に参加者は最後まで引き込まれました。
紹介は以上です。当研究会の会員は皆、それぞれの職に日々忙しくしておりますので、研修会を定期的に開催し続けることは時につらいと思うことがあります。また、参加者が思ったより少ないと、これでよいのか不安になったりもします。でも、コンスタントに研修会を継続していくことが、職業リハビリテーションに携わる人の裾野を広げることにきっとつながると思い、取り組んでいます。(中国ブロック理事:山口大学 松田信夫)
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